可愛らしいメレンゲのお菓子は、フランス革命前の総裁政治(ディレクトワール)時代に強い影響を受けています。 当時、若者たちが政府に反発する意思を独特の服装(※男性は三つ編みに大きなメガネ、女性はお尻や胸が透けて見えるドレス)で表現をしていました。それが社会現象となり、そういう身なりをした男性たちを「アンクロワヤブル」、女性たちを「メルベイユーズ」と呼んでいたのです。 アンクロワヤブルやメルベイユーズたちは、サロンに集い政治や経済の話をしていましたが、徐々に互いの格好を見せ合いながらお茶やお菓子を嗜むことに目的が変わっていきました。 オー・メルベイユ・ドゥ・フレッドの店舗は、この時代からヒントを得て、ガラス面や金箔などをふんだんに使った、洗練されたバロック調の装飾を施しています。 フレデリック・ヴォカンは、自身が作るお菓子を通じて、当時のフランス人の優雅な生き方、つまりゆっくりした時間を大切にすることや良いものや美しいものを楽しむことの素晴らしさを継承しているのです。